新田地域学習センター
施設名 | 新田地域学習センター |
施設概要 | 新田地区の生涯学習活動の拠点。江北社会教育館新田分館と新田コミニュニティ図書館の複合施設。区民事務所、住区センターを併設。 |
施設 | 図書館、会議室、調理室、レクホール等 |
住所 | 東京都足立区新田2−2−2 |
電話 | 03−3912−1767 |
FAX | 03−3913−9844 |
地域情報紙 「さくら草」 第55号 2002年1月
【発行責任】(財)生涯学習振興公社 新田地域学習センター
街の顔 −特別編− 「野新田桜草の会」
それは去年の11月、学校がお休みの土曜日。晩秋というよりも、むしろ初冬という言葉が似合う朝のことでした。
冷たい雨の中、新田小学校にひとり、またひとりと人がやって来ました。最終的に総勢10人以上もの男女が、休みの学校に集まりました。この人達こそが「野新田(やしんでん…新田の昔の呼び名)桜草の会」の皆さんなのです。
栽培が難しいと言われる(“栽培”というよりも“育てる”感覚だそうですが)桜草。日当たりが良過ぎてもよくないようで、季節によって全ての鉢とプランターを移動します。正確にマスで油カスの量を測り、水肥の準備をしてこの日の作業は終了。約1時間の作業後は、皆さん雨でビジョビジョでした。
日本桜草の写真が所狭しと飾ってある会議室で、お話を伺わせていただきました。そもそも会の発足は3年前、新田小学校創立50周年事業にさかのぼります。家庭教育学級で新田の成り立ちを学んでいく内に、校長先生も「こども達の情操教育になれば」と興味を持たれ、地元の郷土史研究家・大久保さん(さくら草2001年11月号参照・現会顧問)から日本桜草を分けていただき、PTA会長【当時は海老沢さん(現会事務局)】が中心となり発足、現在は笠原さんが会長です。会員は新田小学校PTA中心ですが、桜草に興味をお持ちの方ならどなたでも入会できるそうです。会則の「第一条(目的)」には「日本桜草をこよなく愛し、江戸時代から桜草の名所であった野新田(現在の新田)に桜草を復活させることを目的とする」と書いてあります。賛同してくださる方は、どうぞご連絡を!(新田小学校内3912−9436)
「野新田と言えば桜草の名所」と言われるくらい有名で、その自生地として江戸時代から数々の文献に紹介されておりまして、今の新田高校のあたりに群生していたそうです。元来、生育環境条件の難しい桜草は、新田の街が開けるに従って、衰退絶滅してしまいました。さて、そのただでさえ栽培の難しい桜草を、新田の街に復活させようというのだから大変なことです。例えば夏休み中は毎日交替で誰かしら、水をあげに学校に行っているのです。「もっともっと多くなったら、生徒ひとりひとりに配りたい」と会長さんは言います。その次は地域の人達皆さんに。そして最終的には、新田の街全体に桜草を息づかせること。これが『壮大な夢』三段計画です。「でも急激に増えるものでもないしね(笑)。」「うん、少しずつ、少しずつね。」…こちらが本音のようです。
会の皆さんの苦労談をお伺いしました。
「今年初めて我が家に桜草がやって来て、最初は花が咲き嬉しく一生懸命めんどうみたけど、夏場になり葉っぱすらなくなっちゃって虫が発生し、どうしようもなくなっちゃった(笑?)」なんていうのを筆頭に、「目にかけていたらなんとか春には小さな芽が出たけど、結局花はさかなかった」「風の強い日が続いて、しおれてそのまま腐っちゃった」「夏場のお昼近くに水やりをしたら、その水がお湯になって根っこが枯れちゃった」「冬場に隣の家の屋根の雪が落っこちて来て凍って、芽が出なかった」などなど…笑ってはいけないのですが、失敗談は数限りないようです。「そんなに弱いのなら、家の中に大事に入れとけばいいじゃないか!」とも思いますが、元々野生のモノなので家の中だともやしになり、枯れてしまうのですね(苦笑)。笠原会長の「とにかく時間が必要。10年はかかるかな〜」、海老沢前会長の「色々学びながら…油断は絶対に禁物!」という言葉からもその難しさ、ご苦労がしのばれます。
しかし、会の皆さんは、こうもおっしゃいます。「難しいからやりがいがある」「こどもは親の背中を見て育つんだから、親が生き物のめんどうを一生懸命見ている姿なんて教育上いいんじゃないかな?」「花の水やりをキッカケに、こどもがお手伝いをしてくれるようになった」「“無言の教育”になるといいな」などなど…こちらの方は明るい意見(笑)がたくさんです。
とにかく和気あいあい、明るく楽しい雰囲気の「野新田桜草の会」の皆さん。会を引っ張っていく人達はもちろん、会員の皆さんひとりひとりのお人柄でしょうか。最後に大久保さんに締めてもらいました。
「日本桜草の名所旧跡ゆえ、この地を桜草でいっぱいにしたいというのが、この会の願い。新田に生れ育ったこども達が、心のふるさととして誇れるものになるといいですね。」
野新田桜草の会の皆さん、ありがとうございました。これだけ知識を持った方と、情熱を持った方が集まっていれば、新田の街に桜草が戻ってくる日も遠くはないと感じました。
入学式にはぜひいっぱい咲かせてください!
これからもこの地域情報紙「さくら草」では、野新田桜草の会に主だった動きがあれば、レポートして行きたいと思っています。
最後になりましたが、パソコンをお持ちの方はぜひ下記のアドレスへアクセスしてみてください。桜草の栽培方法から、桜草コレクション(写真)、桜草のお菓子まで情報満載。キレイなのでちょこっと見るだけでも、価値があると思います。
【http://homepage2.nifty.com/yasinden−sakurasou】