野新田(やしんでん)という地名は、古くから使われていた名称で、現在の東京都足立区新田を示しています。足立区の西端に位置し、東京都北区・埼玉県川口市に隣接しています。南側には隅田川(旧荒川)が流れ、北側には荒川(荒川放水路)が流れる島状の地域です。もともとは、北側の鹿浜地区と地続きでしたが、隅田川の水害対策のため大正時代に始まった荒川放水路(現在の荒川)の建設により、島状の地域として分割されてしまいました。区内では、荒川下流域の宮城・小台、千住地区も同様の経緯をたどっています。現在の新田は一丁目から三丁目と整理されていますが、かつては里俗(りぞく)で野新田とも呼ばれていました。
桜草に関する古い文献には、この地が桜草の名所であったことが紹介されています。江戸時代の文政十年(1827年)刊、岡山鳥著「江戸名所花暦」春の部には、以下のように紹介されています。
「王子村と千住の間にある尾久の原には、現在桜草がなくなっています。尾久の原から一里(3.9Km位)ほど王子の方へ行くと、野新田の渡しという所があります。
ここは、俗に野新田の原と呼ばれていて、ここに桜草があります。花の咲く季節になると、この原一面が赤く染まったようになり、丁度朝日が水に写っているかのようであります。
又、この川に登って来る白魚を取るため、船に乗って網を引いたり、岸辺ですくったりして、人々は競争で白魚を取っています。桜草の赤い色に白魚をそえて「今日は紅白のお土産ですよ!」と行楽客が大変おどけて持ち帰って行きました。(大久保幸治:意訳・同氏著・新田わが町)」
出典 東都花暦名所案内(天保3・4年 1832・3年)
左の図上部中央に「野新田」「鹿濱」「掘内」と記されています
右の表には、「春の部」「桜草」に「千住の野 野新田 戸田原」と記され
立春より80日が見頃だとされています
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この桜草も、時代の流れと共に姿を消してしまいました。桜草の会を発足するに当たり、桜草の名所として親しまれてきた「野新田」の名称を使わせて頂くこととしました。
新田への交通
JR京浜東北線 王子駅よりバス(都営バス・東武バス)
- 都営 王41系統 新田1丁目行(新田橋経由) このバスが一番便利
- 都営 王45系統 北千住行(新田橋経由)
- 都営・東武 王30系統 亀有行(環7経由)
- 都営 王49系統 千住車庫行(環7経由)
JR京浜東北線 赤羽駅よりバス(国際興行バス)
- 国際 赤27系統 西新井警察行(環7経由)
- 国際 赤26系統 舎人団地行(環7経由)
営団地下鉄南北線 王子神谷駅より徒歩