日本桜草を栽培するには、桜草が自生していた自然条件に近いものを人工的に作り出していく必要があります。本サイトの「野新田の桜草」の中でも記述されていますが、保水力のある土、開花後の増土、夏場の日除け等々の自然条件を、人間の手で行わなければなりません。
桜草は一般的に、寒さには強いが暑さには弱いといわれています。また、開花後の増土は桜草栽培の特徴でもあります。
桜草の栽培方法について詳しいのは「NHK趣味の園芸作業12ヶ月 日本サクラソウ」(鈴鹿冬三著 NHK出版)があります。また、「浮間ヶ原桜草圃場」のホームページ(リンク集参照)でも、図入りで「栽培暦」が紹介されています。
私たち「野新田桜草の会」では、独自に桜草を栽培してきた本会顧問でもある大久保幸治さんより、ノウハウを教えて頂きながら栽培を進めています。少々の手間は必要ですが、桜草が可憐な花を咲かせた時の喜びは格別なものがあります。他地区、文献類の栽培方法と多少違う点はあるかと思いますが、多くの皆さんに桜草を楽しんでいただきたく、栽培方法を紹介いたします。
なお、本サイトの「活動日誌」でも栽培方法にふれている項目がありますので、ご覧下さい。
1.用土
- 赤玉土(小)7対腐葉土3の割合
- 赤玉土(大)ゴロ石の代わりに鉢・箱の底に敷く
- 用土は、芽分けの時に古い土を捨てずに取っておき、次回の芽分けで使う。約10年は交互に使用できる。ただし、腐葉土はその都度、新しい物が必要。
2.肥料
- 油粕(粉)の場合
・ペットボトルを利用する場合(家庭で作成するのに最適)
200ccの油粕をペットボトル(2リットル)に入れ、水を入れて腐らせる。その溶液35ccに水1リットルの割合で薄めて使用する。油粕が腐ってガスが発生するので、時々キャップを外すか、キャップに穴を空けておく。必要数を作成。
・ポリバケツを利用する場合(大量に作成する時)
3リットルの油粕を洗濯ネット(細目)に入れ、30リットルの水を入れて腐らせる。使用する濃度は上記と同様です。
- ハイポネックス(原液)の場合
- 5リットルのジョーロにキャップ1杯(なるべく薄く与える)
3.ヨシズ又はスダレ
- 夏場の日除け用。桜草を建物の陰などに移動しても良い。
4.鉢または箱
- 箱(発泡スチロール製)高さ13cm位 学校で大量に栽培するために使用
- 5号素焼鉢(4芽植え付け) 家庭用
5.ラベル
- 桜草の品種名を記入し、箱または鉢に刺しておく。
6.ビニールトタン
- 冬の雪・霜除け用として、ビニールトタンを鉢の上に掛ける。その上に角材などを乗せて重しにする。
7.ジョウロ
- 水やり用
8.ふるい
- 腐葉土に入っている大き目の枝等を分けるのに使用する。
9.ジョウゴ、茶漉し
- ペットボトルで水肥を作る場合に使用する。ジョウゴは、油粕をペットボトルに入れる時や、出来上がった水肥の上澄みを移し替える場合に使用する。茶漉しは、上澄みを移し替える時、ジョウゴの中に置いて、落ちてくる油粕を受け止めるのに使用する。
月 旬 管 理 水やり 肥料・防虫 霜・雪除け 日除け 1 上 10日に1回 中 下 植え替え(芽分け)準備 2 上 中 植え替え(芽分け)
冷たい雨に当てないようにする
日光に充分当てる1日に1回 水肥を与え始める 下 3 上 中 下 1日に1回 雪・霜除けを撤去 4 上 中 1日2回 下 開花(平均4月下旬) 5 上 摘花・増土、日除け又は移動 ヨシズ等で実施
又は、日陰へ移動中 下 除草 青虫に注意 6 上 消毒(6月中に2回位) 中 1日に1〜2回 下 除草 ヨトウ虫、ナメクジに注意 7 上 中 葉が枯れ始める 水肥終了 下 葉が枯れて無くなる 葉が枯れても株は生きているので水を与える 8 上 中 下 9 上 中 1〜2日に1回 下 10 上 2〜4日に1回 中 下 11 上 日除けの撤去、又は移動
水肥の作成4〜7日に1回 ヨシズ等の撤去
又は、日当たりの良い場所へ移動中 下 12 上 10日に1回 中 下 ビニールトタンで実施
- 本栽培暦は標準的な暦ですから、その年の気候によって多少変化があります。例えば、開花が遅れれば増土も遅らせるというように対処する。
- 水肥は、上記の期間中(2/中〜7/中)、日常の水やりがわりに原液を薄めて実施する。
- 日除けは、日の当たらない校舎裏に移動させることで対処している。
- 芽分けは、毎年実施している。
- 水やりは、記載されている期間中の目安ですので、気象条件によって対処して下さい。